中国の首都・北京で隔年開催されているモーターショー、オートチャイナ(通称北京モーターショー)が2008年4月20〜28日に開催された。会場では、成長と発展を続ける巨大市場でさらなる利益確保を狙う海外勢と、海外メーカーや開発企業の助力を得ながらも自立に向けて歩み始めた中国メーカーたちのアピール合戦が展開。コンセプトカーや新型車が数多く登場し、以前と比べて華やかさは格段に増加した。
今回のショーにおける色彩傾向を大別すると、高級感を表現するシルバーと大衆にアピールするカラフルカラーといった見方ができる。欧州ブランドは比較的高価格なためか、高級感のあるシルバーを中心に展開していた。ただし大衆層に食い込もうとする海外ブランドや、欧米や日本の市場と同様の車種を持ち込んだ海外勢、それを猛然と追いかける大手民族系メーカーは、さまざまな塗色を出展していた。大衆層を意識した小型車では、定番のレッドやダークブルーに加え、彩度の高いイエロー、オレンジ、ライトブルーなどが登場。中国では高貴な色であるパープルが、付加価値を感じる色として採用されているケースもいくつか見られた。またメタリックの採用が増加傾向にあるが、近づくとややギラつきが目立ち、荒っぽい印象のものが多い。
他に中国市場の特徴としては、ゴールドとバーミリオンへの憧憬が挙げられる。ゴールドは欧米の価値観とは異なり、宗教観と結びついて「ありがたさ」を感じさせる色彩である。またバーミリオンも歴史的な宗教観と、共産主義国家のナショナルカラーであり愛国心をくすぐるという理由が結びつき、高い人気を持っているようだ。現在この2色は、展示車の車格や車種のキャラクターを問わず採用されており、いずれ中国市場ならではの人気色に育っていくのかもしれない。バーミリオンに、ゴールドに輝く大粒径の光輝材を混ぜたメタリック感は中国ならではの発想に思える。
またあえてギラつきを目立たせて個性とする手法が、いくつかのコンセプトカーやプロトタイプで見られた。非常に大きく粗い光輝材は、アメリカ西海岸のカスタムペイントを思わせる派手さや躍動感を持つ。またブルーやゴールドでありながら、光の当たり方や見る角度によって大きく色相が変化し、紫色に光るミステリアスなものも見られた。いずれも表現は大雑把だが、色彩で存在感を与えようとする試みとして興味深い。現時点では民族系メーカーは企業体力が弱く、技術的な限界による制限が多いようだが、いずれは海外勢に劣らぬ塗装技術を身につけるようになる。その時にどのようなトレンドが発生するのかに注目したい。

Changfeng / LIEBAO CS7

GAC / BEIJING 700

VW / LAVIDA
外資系、民族系問わず高級イメージの表現に使われている。そのため、セダンでの採用が主流で、大衆向けハッチバックではあまり見られない。明度が高い色域の展示車が多かった。

Geely / PANDA
安価という理由でソリッドホワイトは以前から見られたが、清潔感や無垢な印象の色として採用が増えてきたよう。今回のショーでホワイトパールはあまり見られなかったが、需要の高まりは感じた。

JAC / A137
ナショナルカラーであるバーミリオン(朱色)に愛着を見出すのは中国ならでは?活発なイメージとともに「愛国心」を表現していると思われた。一部にゴールドに輝く大粒径の光輝材も使われていた。

Acure / RL
中国では宗教的感覚から崇拝の対象だったゴールド。大型セダンやコンセプトカーでは彩度を抑えて厳かなイメージを表現。大衆車ではギラついたメタリック感で存在を主張していた。

Great Wall / PHENOM
小型車で活発さ、スポーティな雰囲気を表現するとともに、大衆の注目を集める高彩度色として活用されている。そのため民族系メーカーでは、展示用にわざとギラギラさせて存在感を出しているようだ。

Chery / QQ SPORT
中国でもパープルは高貴な色。これまで中国の自動車では目にすることはなかった色で、今回いきなり大衆車に採用され驚かされた。第一汽車ブースにはピンクのコンパクトカーもあった。

ITA / CROSS WIND
中国ではダークブルーが昔から大衆車の定番色で、今も人気を保っている。今回は、おもにコンセプトカーで明るい未来を表現する手法として、高明度の上質なスカイブルーを採用する例が見られた。

Chery / FARIA YY
イエローは、かつて神聖視されていたゴールドの代用色として重用されてきた。昔から人気がある色。今回はオレンジと同様に小型車に採用され、高明度で華やかさと軽快感を演出していた。
TEXT & PHOTO by Hayato Furusho /
Design journalist
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