Interview COLORFUL LOUNGE guest / Merck Ltd. Kouji Hamasaki, Seiji Takahashi

EFFECT PIGMENTS

柔らかな輝きで人々を魅了するパールカラー〜[後編]パールカラーとカラートレンド〜

色に対して、感性的な価値を求める傾向が強まってきたことで、さまざまな製品でパールカラーが使われるようになっています。きらきらとした粒子感は、マイカ(雲母)顔料によって表現されています。今回のカラフル・ラウンジでは、パールカラーの実現手法について、原材料に注目し、パール顔料のメーカーとしてグローバルな展開をしているメルク(株)の浜崎光二さんと高橋誠治さんにパールカラーの魅力や特性などについてお伺いしました。2回に分けてその内容をご紹介します。(後編)

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パール顔料を普及させた意外な製品

DIC(以下D):現在、主力となっている御社の光輝性顔料についての概要がよくわかりました。
これまでのさまざまな顔料開発によって、パールカラーは、自動車に限らず、家電、建材、化粧品、日用雑貨など、幅広い製品で使用されていますが、普及の過程で印象に残っている製品はありますか?

メルク(以下M):意外に思われるかもしれませんが、普及にはずみがついた製品というと、80年代前半に脚光を浴びたビア樽です。ご存知ですか?

D:2〜3リットルの容量があってパーティとかで活躍したアルミのビール樽のことですか?アルミ缶にパールの印刷がされていたとか?
M:アルミ缶ではなく、プラスチック製のビール樽と注ぎ口のパーツにパールが練りこまれるかたちで採用されてヒットしたんです。

D:確かに意外な製品ですね。
今では印刷インキでも使用されていると思いますが・・・


パール顔料を練りこんだプラスチックの多彩なパールカラー見本。

M:そうですね。グラビア、スクリーン、及びフレキソ印刷等のインキでも使用されています。その場合、コストの関係もあって天然マイカ基材のパール顔料が中心になりますが、エフェクト顔料も付加価値の高いパッケージ印刷では用いられています。
建材におけるグラビア印刷もパール顔料が使われている分野になります。

メルク社発信のカラープロポーザル情報

D:カラートレンドを意識されているのでしょうか?
M:カラープロポーザル情報を発信しています。主に「カラー・プロポーザル・フォー・オートモーティブ・コーティングス」と「アジアン・カラー・プロポーザル」の2種類があります。そのほかにもスポット的にカラープロポーザルを発信していますが、日本市場では、この2種類を営業ツールとして活用しています。前者は文字通り自動車のエクステリアカラーに対するグローバルレベルでの情報で、後者は自動車や家電などにおけるハイエンドコーティング製品を念頭に、アジアマーケットを意識したカラー情報になっています。
今日はその実物として「アジアン・カラー・プロポーザル2004-2005」をもってきました。普段使用しているパール顔料の見本帳は、あくまでもパール顔料のみでのカラー表現の見本を集めたものですが、カラープロポーザルの色に関しては、有機顔料を混ぜ合わせて表現した色を含め、より多彩なカラー表現を提案しています。有機顔料はDICグループ製品を含め、各顔料メーカーの製品を利用しており、どのメーカーのどの顔料をどの程度の割合で使用したか、全て情報を公開しています。

D:毎年出されているのでしょうか?
M:定期化されているわけではありませんが、実績的には4〜5年に1回の頻度で情報発信しています。この秋には「アジアン・カラー・プロポーザル 2009-2010」が予定されています。

D:どんな風にプロポーザルカラーを選定しているのですか?
M:いろいろなやり方がありますが、ドイツ本社にカラーマーケティンググループ(米国のカラートレンド関連アソシエーション)のメンバーになっているデザイナーがいて、その者が中心になって、弊社の顔料を使って新しいカラー表現を提案するといったアプローチもありますし、今日持ってきたアジアバージョンの場合には、アジアのトレンドに詳しいアジア地域の支社でチームをつくって色選定をしていくこともあります。

D:1回当たり、何色程度の色を提案されているのですか?
M:ケースバイケースで、40色くらいの時もあれば、100色くらいの時もあります。

メルク社が情報発信している「アジアン・カラー・プロポーザル2004-2005」。この秋には2009-2010版の発行が予定されている。

カラートレンドのマーケット的特徴

D:マーケットの動きから感じているカラートレンドについてはどうですか?
M:日本国内では自動車の外装色としてホワイトパールの人気が継続しています。つまり先ほど話に出たシラリックシリーズの「Crystal Silver」という顔料が代表的な存在です。
それに対して、中国やタイといった国では、お国柄なのだと思いますが、ゴールドが好きなので、パールといっても、ゴールド色が好まれると聞いております。
また、ヨーロッパではホワイト色の自動車はほとんど見かけません。これについては、以前、本社があるドイツに住んでいた際に同僚に聞いたところ、ホワイトのクルマは、公用車のイメージが強いということでした。

D:パール云々の前の話としてホワイトのクルマは好まれないということなんですね。日本で公用車というと黒塗りのクルマというイメージですから正反対ですね。
でも最近はヨーロッパのモーターショーでもホワイト色のコンセプトカーが多く見られるようになってきましたから、時代とともに微妙に変化しているかもしれません。
いずれにしても、色彩嗜好には国や地域ごとに文化的な背景が根底にあって、志向に違いがあるということですね。

M:時代によっての変化といえば、昔はあまり売れていなかったのですが、最近、マイカに酸化鉄を被覆してブロンズ色を発色するパール顔料が、家電分野で増えてきています。

D:地理的な要因の他にも技術革新や時代変化など、さまざまな要因がトレンドを左右しているわけですね。
M:ソリッドカラーとは異なる色として、パールカラーとメタリックカラーがあるという話がありましたが、今日では、エフェクト顔料のように、さまざまな種類の顔料が開発されるようになっています。そして、それらを併用することも少なくありません。
アルミ顔料は輝度感が高いという話をしましたが、顔料粒子自体が光を透過させないので、底色は暗くなってしまいがちです。しかし、パール系の顔料は透明性が高いのでそうならない。ですから、こうした双方の特性をバランスよく表現するために混合するといったこともされています。

D:業界的にとらえた場合、パールカラーのトレンドセッターとなっているのはどんな業界なんでしょうか?
M:一概にはいえないと思いますが、自動車の塗装は色の開発力がとても高い分野といえます。家電分野など、他のフィールドにも影響を与えている業界だと思います。ですが、高いレベルの耐候性が求められることもあって開発時間が長く必要になる面もあります。
そういう意味では化粧品分野の先取性もトレンドをリードしていると思われます。化粧品そのものに使われる顔料もそうですし、パッケージの印刷などで使われる顔料も同様です。
最近では携帯電話に高いファッション性が要求されるため、新しい意匠表現の開発が盛んに行われております。

D:そうですね。携帯電話や化粧品など個人のこだわりが強い分野でいろいろな新しい表現が試され、それが消費者に受け入れられることによってトレンドが生まれている、という状況なのでしょうね。
本日はお忙しいところありがとうございました。

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