Report CHINA 2008.07.18 INFORMATION

COLOR & CULTURE

上海 ― NAP CAFE でほっと一息

繁華街から一歩路地に入ると、赤レンガづくりのアパルトマンが続き、小さな門をくぐればそこは別世界。赤褐色の木製の階段が、ひねりながら一階から二階へ、そして三階へ伸びて、階段の踊り場に設けられる小さな部屋が客間になったり、子供の隠れ家にもなったり。らせん状のリズムが立ち上るそんな空間が、上海の住まいの原風景ともいえます。

都市の再開発とともに消えつつある伝統の住空間に、ノスタルジックさを感じる若者が増えました。NAP CAFEは、そんな空間を癒しの場、コミュニティの場に変えたホームカフェの草分け的な存在。感度の高いクリエイターたちから評判を聞きつけて訪れてみました。

住宅街の奥に入り込んでいた小さな赤い門。一階の部屋には別の住人が。色あせた赤褐色の狭い階段でためらっていると、そこに、二階の部屋から珈琲の香りが漂ってきました。はがれかけた白い漆喰壁に、黄色やイエローグリーンのイラストが軽やかなタッチで描かれ、メモや写真が無造作に貼られていました。二階から三階へ続く踊り場では小さなキッチンを前にご主人は卵をといてケーキづくりに追われていました。二階のインターネットカフェは昔の部屋を残してイエローグリーンの壁、三階のプライベート空間は澄み切ったスカイブルーの壁色に覆われました。そこにソファと本棚が置かれ、小さなテラスのガラス扉から都会の喧騒を隔てて吹き寄せる風が、真っ白なカーテンを揺らし、不思議な静けさが広がっていきます。家のような、友人宅のような、リラックスした空気。しばらくするとキャンドルライトに珈琲と出来立てのクッキーが運ばれ、静かな空間に温かく濃厚な色香が添えられました。誰にも邪魔されない、ほっと一息する空間に。

来店者が綴った何冊ものノートを広げてみると実に面白かった・・・。詩人のようなロマンチックさ、恋人への焦がれる思い、上海にはじめて訪れる興奮、NAPを家のように懐かしむ気持ち・・・、クッキングワークショップの常連や珈琲の愛好者など、このお店を訪れている若者たちは、素のままで、感性的で、敏感な心の内を覗かせているようです。

80年代生まれの"80後一代"は、豊かな環境で育ち、高い教育を受けたが、一方では自己中心的で協調性に欠け、アニメやキャラクターを好み幼稚化しているとの指摘もあります。でもそんな彼らが、趣味を共有するホームカフェやホームショーのブームを生み出しました。古い家屋の木材に見られる赤褐色の塗色を残しつつ、新しさを感じさせるイエローグリーンやスカイブルーで漆喰壁を彩ったNAPのカラーコーディネーションからは、伝統を大切にしながらも新しい文化を生み出したいという意気ごみを感じました。

2階のインターネットカフェは、オーナー夫妻の仕事場でもある。イエローグリーンの壁に褐色のフローリングは上海らしい配色。

踊り場の壁にはアーティストやデザイナーたちの「落書き」やメモが。自由に、リラックスに。

3階のプライベート空間。澄み切ったスカイブルーと白の配色に、上海独特の息吹を感じる。

TEXT & PHOTO by Eri Omae = Zhou Xin(dcd)
NAP CAFEのHP http://www.nap-cafe.com

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