先日の北インドへの旅で、インド3大祭りの1つ、ホーリーに遭遇しました。ホーリーはインドの人口の8割を占めるヒンズー教徒の祭礼で、ヒンズー暦最終日(3月下旬頃。日にちは毎年変動)に、枯れ木や草を焼いて一年の穢れを清めた後、身分に関係なく、カラフルな色の粉や色水をかけ合い、生命が躍動する新年を迎えようとするお祭りです。
町を歩くと、通りのあちこちで極彩色の粉が山盛りになって売られています。オートリキシャから出る排気ガスや砂埃でくすんだ視界の中で、ひときわ目を引きます。赤や橙、黄色、緑、青緑、青、青紫、ピンク、白、銀と、彩り豊かに並ぶ色粉。見渡せば、まだ当日でもないのに、もう色粉で衣服や顔が汚れている人が・・・。
そしてホーリー当日。宿の屋上のレストランで朝食を済ませ、ガンジス河と周囲の家々を眺めると、こじんまりした3、4階建ての家がひしめき合っていて、屋上には屋根がなく、人々の暮らしぶりが垣間見えます。ふと、とある家の屋上で子どもがせっせとビニール袋に赤い色水を詰め、小道を歩く人々に力いっぱい投げつけ始めました。別の家では、近接する家の子ども同士で、水鉄砲対水風船の壮絶な屋上戦が開幕。またある家では、顔を銀色に塗りたくった大人が、わざと隙を作って、子どもに色水をかけられています。どの光景も、なんだかとても微笑ましい。
すると突然、「ハッピーホーリー!」の声とともに背中に冷たい大量の液体が!「きゃーーー!!」宿の中でいきなりホーリー開始!その後は、その場に居合わせた外国人、インド人が入り乱れて大騒ぎ。バケツで色水を掛けたり、掛けられたり、色粉を付け合ったり。最初は色粉に抵抗する人もいましたが、最後はみんな色まみれになっていい笑顔。
肌の色で身分を区別し、されてきた人々が、祭事の中で肌を一様にカラフルに染め、ひと時の一体感を味わう。単色ではなく、多色の楽しさを実感する。ホーリーは、多民族、多宗教、多言語と様々なアイデンティティを持つインドの人々にとって、とても大切な祭事のように感じられました。

ハッピーホーリー! 視界に入ってしまった人は全て、容赦なく染められていきます。

水鉄砲もホーリーの必須アイテム。すだれのようにディスプレイされている棒状のものが水鉄砲。

露店で売られている色粉(グラール)。ホーリーが終わった後も売られていて、ヒヤヒヤしました。

カラフルで楽しいグラール。身体についた色は3日間ほど取れませんでした。

ホーリー後のレストラン。そこらじゅう色水まみれ。

ヤギまでホーリー。他にも、ヒンズー教で神聖視されているはずの牛が、眉間に色水をかけられていたりしました。

民家の屋上。一見ギョッとしますが、これは色水。一家総出で大騒ぎ。
TEXT & PHOTO by Ayumi Urano / dcd