Report INDIA 2008.10.24 INFORMATION

COLOR & CULTURE

ヒンドゥー教の神々の色彩

インドのベンガル地方や隣国バングラデシュのヒンドゥー寺院では、きらびやかに装飾されたヒンドゥー教の神々の像が見られます。西ベンガル州の州都コルカタ(カルカッタ)では、寺院に限らず街中のいたるところにこれらの像が飾られており、中には等身大以上の巨大な像も少なくありません。年に一度のドゥルガー・プージャでは、これらの像の出来を競い合うのが慣わしとなっています。ドゥルガー・プージャはヒンドゥー教徒のベンガル人にとっては新年を祝う最も大切なお祭りで、街中がお祝いムードに包まれます(写真1)。

ドゥルガーは、インドの中でも特にベンガル地方において熱心に崇拝されている女性の神様の名前です。この地方では、ドゥルガーが、神々を苦しめた阿修羅の首領マヒシャにとどめをさす場面を表した像がよく見られます(写真2)。ドゥルガーの肌は黄色や白で色づけされていることが多く、衣服はきらびやかに装飾されています。単色が一般的な日本の仏像とは対照的です。ヒンドゥー教において黄色やオレンジは幸運をもたらす吉兆の色で、サリーなどにも好んで使われます。白は浄化の意味合いをもっており、ヒンドゥー寺院の壁や床など神聖な場所に用いられる色です。

ドゥルガーが手にしているのは、シヴァ神の象徴、三叉槍です。というのも、実はドゥルガーはヒンドゥー教三大神の一人であるシヴァの妻なのです。シヴァは寿命が尽きた世界を一旦壊し、次の世界創造に備える役目を担っている破壊神で、別名マハーカーラ(偉大なる暗黒)と呼ばれます。世界を破壊するときに恐ろしい黒い姿で現れることからこの名がつきました。しかし、シヴァの姿が描かれる際には、肌は黒ではなく、青で書かれるのが一般的です。ヒンドゥー教徒にとって黒は不浄、不吉な色とされているため、神様の絵を黒で表現することをタブー視しているからです。

ドゥルガーとシヴァの間に生まれた子どもの一人に、ベストセラー『夢をかなえるゾウ』で有名になった、象の頭をもつ神、ガネーシャがいます。ガネーシャは、障害を取り除き財産をもたらすと言われ、商業や学問の神様として人気があります。姿形に特徴があるせいもあり、土産物として置物が売られている光景がよくみられます。土産物のガネーシャ像の中には赤く色づけがなされているものがあります(写真3)。インドにおいて赤は血をほうふつさせ、再生を表す色とされています。そのため、神像や宗教的な式典に多く用いられています。

このように、インドの色に対するイメージは、宗教と結びつくことによって生活に深く浸透しているケースが少なくありません。そのため、日常生活の中でも、人びとが色のもつ意味合いを敏感に感じる場面が多くみられます。インドに限らず、異文化との相互理解を進める上では、単なる嗜好をこえ、文化として色の持つイメージを理解することが求められるのかもしれません。

ドゥルガー・プージャ

(写真1)街中がお祝いムードになる祭り、ドゥルガー・プージャ。祭りの名前にもなっているドゥルガーはヒンドゥー教の女神。Photo by Miki Sato/佐藤未希

ドゥルガー像

(写真2)肌を黄色で彩色させているドゥルガー像。黄色はヒンドゥー教の吉兆の色。
Photo by Yuko Yokouchi/横内裕子

カネーシャの土産物

(写真3)象の顔をもつ神、ガネーシャは土産物として人気があります。インドにおいて赤は再生を表す色です。
Photo by Yuko Yokouchi/横内裕子

TEXT by Naonori Kusakabe / 日下部尚徳=岐阜女子大学南アジア研究センター

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