
青の洞窟。入り口が狭いため、手漕ぎの小船で洞窟内へ
イタリア南部、ナポリ湾に浮かぶカプリ島は、かつてローマ帝国の皇帝が別荘を構えたほどの景勝地で、「青の洞窟」(写真右)があることで有名です。青の洞窟は、海の波が島の岸壁を侵食してできた洞窟で、よく晴れた日の午前中、洞窟内の海水が青く輝くという、とても神秘的な場所です。
なぜこんな風に見えるのでしょうか?秘密の1つは、「海水による光の散乱と吸収」です。太陽の光は、虹の色のように、実は様々な色の光を含んでいます。太陽光が洞窟の入り口から差し込むと、光の波長の性質の違いによって、短波長の光(青)が海面で散乱されたり、長波長の光(赤や黄色など)が海水中に吸収されたりすることで、海水が青く見えます。そして、最大のポイントが「海底からの光の反射」です。海中に差し込んだ光は、カプリ島の海底を成す白い石灰岩によって、海面へと反射されます。つまり、海底からライトで照らされているかのような状態になり、海水自身が輝いているように見えるのです。さらに、カプリ島周辺には刺激を受けて発光する夜光虫(プランクトン)が生息しており、小さいながら、青い水の輝きを増すのに一役買っているといわれます。
暗闇で光る青い水。宇宙から見る地球はこんな色に違いない!そんな気がしました。考えてみれば、地球が青く輝いて見えるしくみは、基本的に青の洞窟と同じです。それは、地球が太陽の光を反射しているからであり、大気や海水によって、一部吸収されたり、散乱されたりして宇宙へと戻ってきた光が、地球を青く輝かせているからです。
洞窟内にいられたのは、小船の船頭がサンタ・ルチアを1曲歌い終わるほんの5分ほどのことでしたが、まるで宇宙を旅しているかのような、幻想的な気分が味わえました。ぜひ皆さんにおすすめしたい場所ですが、地球温暖化で海面が上昇すると、見られなくなってしまう可能性があるとか。心を豊かにしてくれる美しい自然と色。守り、受け継いでいくために、地球と仲良く暮らしていきたいものですね。

カプリ島のビーチ。石灰岩質の石がごろごろ。

洞窟の奥から。一段と深みを増す青。

宇宙から見た地球。写真左の青と似ていませんか?
TEXT & PHOTO by Ayumi Urano / dcd(地球の写真を除く)