景観における色彩計画が完成される現場を見ることはとてもどきどきするし、時には恐ろしくもあります。それは計画段階と完成段階とでイメージ的な差が生じない色彩計画は滅多に存在しないからです。景観色彩には、いろいろな要素が複雑に絡み合います。ですから、事前に、分析と予測を十分にすると言っても、予測不可能なことがいつ起こるかわかりません。特にアパート(日本のマンションに該当する)の景観色彩のように、多くの住民によって共有される色彩の場合、あらかじめ考慮しなければならないことが沢山あります。景観色彩で、完璧に色彩計画の仕上がりを予測することは不可能といえるのかもしれません。こうした分野でイメージ通りの色彩計画をするために必要なのは、もはや色彩計画家の「技術」ではなく、「哲学」であるとさえ思えます。
こうしたことを再認識させてくれたプロジェクトが今、韓国のソウルで進んでいます。現代建設のアパートブランド「ヒルステイト」です。
昨年の夏頃、現代建設は自社アパートブランドである「ヒルステイト」の新しい外装色彩計画を発表しました。「ヒルステイト」とは、現代建設の英文表記の頭文字である「H」に、高級住居団地をイメージさせる「Hill」、高い地位、品格をイメージさせる「State」を合わせた造語です。そして、このプロジェクトの色彩計画を担当したのが、世界最高の色彩専門家、フランスのジャン・フィリップ・ランクロ Jean Philippe Lenclos でした。その外装は色の自由度において韓国の文化ではかなり斬新な提案となっています。韓国のアパート外装色に慣例的に使われる低彩度の色に比べて彩度が何段階も高い色が、配色の中で使用され、しかも広い面積を占めています。
このプロジェクトは、計画発表段階から、多くの人々の感心を集めました。そして、昨年の秋、ランクロ氏の色彩計画によるアパートが実際に見られるようになりました。その代表作が、金浦高村(キムポ・ゴーチョン)の「ヒルステイト」です。羽田から出発し、ソウル金浦空港に着陸する飛行機の中からそれを見ることができます。着陸準備の機内アナウンサーが流れた後、左側の窓をご覧ください。大胆に彩色されたヒルステイトが目に入ることでしょう。その色彩は、地上で見るとさらにインパクトが感じられます。
2007年11月以後に竣工される「ヒルステイト」は、ランクロ氏の「アートカラー」を適用する計画です。すでに多くの場所で、その色彩に会えるようになっています。


金浦高村の「ヒルステイト」。
(上・模型、左・実物)
TEXT by Oh Sung Mi / DESIGNNET(http://www.designnet.co.kr)
Translation by Jungyeon Sohn(dcd)
PHOTO提供:現代建設ヒルステイト