展示会リサーチにおける
カラートレンド分析の秘訣

~ 将来予測の確度を上げるための展示会リサーチとは? ~

カラーマーケティング調査のフレームワークは、別途解説していますが、マーケティングリサーチにおいて、さまざまな業界で行われている展示会・見本市は、各社の新しいビジネス提案の場であり、トレンド情報の宝庫です。しかし、視察者のすべてが同じ成果を得られるわけではありません。
ここでは展示会におけるトレンドリサーチの成果を高めるための秘訣を、ミラノサローネを例にご紹介します。

◆「ミラノサローネ」とは

「ミラノサローネ」は、毎年4月にミラノで開催される世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ国際家具見本市」の通称で、正式名称は「Salone del Mobile.Milano サローネ・デル・モービレ・ミラノ」といいます。もともとは文字通り家具見本市でしたが、今日ではサローネと同時期にミラノ市内で自主的に行われる展示、通称フォーリ・サローネ(Fuori Salone)の盛り上がりもあって、イベント総体を称してミラノデザインウィーク(Milano Design Week)と呼ばれるデザインの祭典と化しています。2018年にはサローネ会場だけでも過去最高の43万人を超える来場者数で、ミラノデザインウィークとしては100万人を超える人々が集まったと言われています。

◆先行デザイン開発に生かすためのリサーチ視点

展示会・見本市を視察するといっても、どのブランドがどんなプロダクトを出展していたということのみをリサーチすれば良いわけではありません。「なぜ」を推察することが、先行デザイン開発に生きる視察分析となります。
「なぜ」を解き明かすヒントは3つの基本視点に分けられます。「社会的価値観」「生活・経済環境や消費者心理」「技術革新・新素材開発」という分析視点です。クリエイションには、それが生み出された背景があります。それを理解したうえで、デザイン、カラー&マテリアルの提案を分析することで、トレンド予測の精度が高まります。

もう一つ重要な点は、視察者独自の分析視点をもつことです。サローネのような大規模イベントには多くのプロフェッショナルの視察者が集まっていますが、それぞれが独自の視点を持っています。DICカラーデザインは「カラー&マテリアル」という視点をもってデザイントレンドのリサーチを続けています。また、トレンド変化の芽を見逃さない分析を行うには、継続的に観察することが大切です。トレンドの差、変化に対する感度が高まります。

◆ミラノサローネに見るDICカラーデザインの分析事例

次に2016年~2018年のミラノサローネに関するDICカラーデザインの分析の結果を一部ご紹介します。
下図は、当社のミラノサローネセミナーでご紹介した配布資料からの抜粋ですが、このように変遷を追うことで、トレンド変化を的確にとらえることが可能になります。

1.社会的価値観の変遷

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2.カラー提案傾向の変遷

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3.CMF提案傾向の変遷

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4.マテリアル提案傾向の変遷

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※ウッドやガラス、プラスチック、テキスタイルなど、様々なマテリアル提案の変化をリサーチしています。

5.キーワードの変遷

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◆未来を予測するために

どんなモノづくりでも、商品企画から市場投入までには一定の時間が必要です。その期間は何カ月という製品もあれば、何年間というものまで様々です。いずれにしても将来を予測して企画を立てなければなりません。
その予測は、人口動態やオリンピックのような大イベントなど、ほぼ確実な未来もありますが、未来は大いなる不確実性を基本的に含みます。これは見込み生産を前提とした商品開発の宿命です。そのため、予測の確度を上げるためのマーケティングリサーチが重要となります。展示会・見本市は「最先端の現在」であり、その分析の積み重ねによって、将来の時代を読み解く感度を上げることが大切になります。

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