色を味方につけるビジネスカラーコラム

パッケージデザインを成功させるコツ
と色選びの重要性

色から考える 成功するパッケージデザインのコツとは?

パッケージデザインは商品購入のきっかけを作る重要な要素です。グラフィック要素に加え、色づかいによって商品のイメージをターゲットに明確に伝えるという役割を担っています。
この記事では、パッケージにおけるグラフィックデザインと色選びの重要性について解説します。

Tips01

1.パッケージデザインを行う際に押さえておくべきコツ

パッケージデザインは商品の顔ともいえる重要な部分です。想定している顧客層にあったデザインにすることでターゲットに訴求するだけではなく、商品をより魅力的に見せることも可能です。商品の特徴を分かりやすく伝えることは、売り上げにも大きな影響を及ぼすのです。

【分かりやすさ】

分かりやすいパッケージデザイン

パッケージには多くの情報を盛り込むことができますが、情報量が多すぎると主張したいことが伝わらなくなる恐れがあります。一番伝えたいことや独自性のある内容に絞ることで、商品の魅力が伝わりやすくなります。

【コピーの明快さ】

パッケージには商品の写真やイラストなどが使用されることも多いものの、商品の魅力をより正確に伝えるのであればコピーも重要です。コピーは写真だけでは伝わりにくい商品のこだわりを的確に表すことで、ターゲットの興味を惹き、手に取ってもらいやすくなります。

【ブランドの認知】

パッケージにこだわることは、企業のブランディングにもつながります。工夫されたデザインでブランド独自の表現を盛り込むことでターゲットの記憶に残すことができ、他社の商品との差別化を図ることが可能です。

ブランドの認知

【パッケージの素材感】

パッケージの素材感

パッケージとは商品を包んでいるだけではなく、商品そのものの価値をより高めてくれる存在です。高級感のある商品であれば、パッケージに使用する素材感も商品イメージに合うものである必要があります。商品を実際に手に取った際に、より商品への期待感を得られる素材が使用されていることで、商品購入への後押しにつながります。

【シズル感】

とろりやじゅわっといった、食品をより美味しそうに感じさせるための表現をシズル感と言います。その本質はターゲットが商品に対して魅力を感じるであろう部分にスポットを当てて紹介することであり、食品であればリアルな食感や味わいを伝えることでターゲットの五感に訴えかけ、商品をよりリアルに感じてもらうことができます。

シズル感のあるパッケージ

【環境に配慮したパッケージかどうか】

環境に配慮したパッケージかどうか

環境問題が大きく取り上げられる現在、パッケージも環境に配慮したものを選ぶことは非常に重要です。企業として環境への取り組みを行っていること自体がターゲットへのアピールとなり、商品を継続的に選んでもらいやすくなるのです。

【ユニバーサルデザインに配慮しているか】

人種や性別、年齢、体格などに関係なく多くの人々が使いやすい環境を作るという考え方のことです。多くの人が使いやすいデザインであるからこそ、たくさんの人に分け隔てなく手に取ってもらうことができます。

Tips02

2.色から考えるパッケージデザイン

マーケティングにおいて、カラーマーケティングは非常に重要な要素を占めています。ターゲットの嗜好などを分析して決定された方向性とは違い、色に対する捉え方は人によって差があります。しかしながら、色には人の感情に働きかけてくれる効果があります。計画的に色を決めることで、商品の価値とともにターゲットの直観に働きかけて商品を選んでもらいやすくすることが可能です。

【年代による色の嗜好の違い】

色の好みは人によって異なりますが、年代によっても好みが分かれる傾向にあることがわかっています。例えば、同じ女性であっても20代の女性はカラフルな色合いを好んでいる一方で、40代50代になると落ち着いた色が好まれやすいという調査結果があります。そのため商品をよりしっかりとアピールするためには、ターゲットの年代や性別にあった色合いをリサーチする必要があります。
もしもターゲットが幅広い年齢層で、性別も決まっていない時には、性別を問わないことはもちろん、様々な年代の方に好まれる色を選ばなくてはなりません。

年代による色の嗜好の違い

【地域による違い】

地域による違い

年代だけではなく、住んでいる地域によっても違いがあります。条件を同じくして20代女性という条件のもと、日本人と中国人を比較すると、中国人はアースカラーのような自然な色合いを選びやすい傾向があるとされています。
育ってきた環境などによっても、人が好ましい、欲しいと感じる色には違いが出てくるのです。

【社会性による影響】

パッケージデザインに使用する色合いは、商品の持つ特徴から一般的に連想されることがあります。
例えば、温かいものや辛い物であれば赤、冷たいものや水分であれば青など日本ではものによってイメージしやすくなる色が既に定着しています。この理屈を利用することがパッケージデザインのコツで、どんな商品であるのかをキャッチコピーや説明文を読む前に把握することができるのです。
他にも、冷蔵庫などのキッチン家電は白色に着色されているものが多く流通しています。これはキッチン空間が清潔感を感じるような白色で統一されていることが多く、自然とキッチンになじむように同じような色を選択するというターゲットの購買心理を踏まえた一つの戦略と言えるでしょう。

社会性による影響

Tips03

3.売り場でのパッケージデザインの重要性

売り場でのパッケージデザインの重要性

【パッケージデザインは売り場で変わる】

デザインを考えるときは、どのような売り場で販売を行うのかをイメージしましょう。販売する場所によって、ターゲットに好まれる最適なデザインを選ばなくてはいけません。例えば、スーパーにおけるターゲット層の多くは、自宅で消費する目的で購入します。この時にアピールしなければいけないポイントは、お得感や美味しそうと思わせることです。
一方で、百貨店などでは商品価格が上がることから、高級感が求められます。また、ギフト用の用途としても購入されやすいため、ボックス入りなども好まれます。

【パッケージデザインの短期的役割と長期的役割】

パッケージデザインの役割とは、まず第一に売り場でターゲットに手に取ってもらえることです。そのためには、競合商品よりも魅力的であり、存在感のあるデザインでなければなりません。また、ターゲットに強く印象付けるデザインである必要があります。印象的なパッケージデザインはターゲットの記憶に残り、商品やブランドの認知度を高め、資産価値を生むことにつながります。

【これから求められるパッケージデザイン】

これから求められるパッケージデザイン

これからの時代、インターネットなどの通信販売による売り上げが加速度的に伸びていくことが考えられます。そのため、間接的にパッケージを目するターゲットまで意識してデザインを決定しなければなりません。また、近年ではSNSによる商品の拡散なども頻繁に行われることから、画像として残しておきたくなるようなアーティスティックなものが好まれるかもしれません。
更に脱プラスチックや、サスティナブルなもの作りが世界的に大きく支持されていることから、無駄を省いた必要最小限のパッケージも有効となるでしょう。このようにその時代に適応したパッケージ作りが重要となります。

Tips04

4.良質なパッケージデザインを知るためのトレンド情報

トレンドを把握することも良質なパッケージデザインを考えるコツと言えます。日本はもちろん、世界で通用するようなデザインを作るためには最先端のパッケージデザインのトレンドを集める必要があります。世界各国の洗練されたデザインに触れることで、より魅力的なパッケージをデザインできることでしょう。

【日本】

日本のトレンドは、隔年で開催されている「日本パッケージデザイン大賞 」が参考となります。
これはパッケージデザインを担うデザイナーたちが、創りあげたパッケージのデザイン性を競うコンペディションです。審査をデザイナーや包装メーカーなどのパッケージデザイン関係者が行うことで、商品の理解しやすさや使用されている材料、環境への取り組みなど複合的な要因を元に大賞が選ばれています。

【アジア】

アジアのトレンドを調べるときは、アジアの価値観から選び抜かれたデザイン戦略を紹介する「アジアカラートレンドブック」を参考にするとよいでしょう。
デザインを見るというのはもちろん、感じて触る、五感へのアプローチを踏まえたデザインがラインナップされています。豊かな個性をもつアジアの魅力あふれるデザインがテーマによってまとめられているのもポイントです。カラートレンド予測なども掲載されており、デザイン考案のヒントが見つけられるかもしれません。

【海外】

海外で人気のデザインを探す時はPinterest を参考にすることがおすすめです。
国内外問わず多くの人が気軽に写真を投稿できるサービスで、ネット上で必要な情報にのみ絞ってデザインを探すことが可能です。気に入った写真にはPINをつけて自分だけの気になるデザインをまとめて見ることができるため、まとまった時間に気になるものだけをピックアップし、必要なときに確認するといった使い方が可能です。

5.ターゲットと目的を明確にした上でデザイン・色・素材を選択しよう

パッケージデザイン制作では上記で示したように地域や年代もふまえ「誰に」商品を届けたいのか、そのパッケージを手に取った時にどのような印象を持ってもらいたいか、という「目的」を明確にする工程が重要になってきます。
現状の課題点などを把握をするため商品の開発者、想定されるターゲットへの「インタビュー」「ワークショップ」などを行い、コンセプトの制定、ネーミング開発などを経てデザイナーはラフ案の制作やプロトタイピングを作りながら進めていきます。
ターゲット・目的を念頭に置きつつ、他のブランド、企業や組織の比較調査を行い、素材の選定を行うことで色やデザインも決まっていきます。
最初からターゲットが決まっている場合でも調査を進める中で意外な視点が見えてきてデザインの方向性が固まってくることもあります。
価格や予算などの関係で、既に素材や印刷する色数が決まっている場合も、ターゲットや目的を明確にして最適なパッケージを探っていくことがデザインの醍醐味であり、未来の売り上げを左右するといえます。

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当社事例:おいしい東北 パッケージデザイン展 優秀賞受賞

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パッケージデザインとは、商品価値をアピールする重要なものです。競合商品と比較して目立つことはもちろん、ターゲットに商品の魅力を具体的に伝え、購買意欲を刺激するものである必要があります。
また、ターゲットが持つ嗜好性や色へのイメージもあることから、パッケージデザインにおける色の重要性は非常に大きなものとなります。パッケージデザインの色選びに悩んだときは、色の専門家へ相談することが成功への近道となるでしょう。

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【特別編】パッケージデザインにおける色の重要性

【特別編】パッケージデザインにおける色の重要性

パッケージデザインにおいて色は重要な役割を果たしています。本資料では、その1つであるカラーイメージコミュニケーションについて、DICが開発した定量的分析手法を解説するとともに、調査展開例をご紹介します。