速報!ミラノサローネ2019。現地取材を通じて感じたデザインの気運

2019年4月9日(火)~14日(日)、「ミラノサローネ」が開催されました。DICカラーデザインでは、今年もイタリアStudio Valan di Milano社と共同で、世界一のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク」を取材してきました。 カラー&マテリアルという独自視点で深く分析した結果は6月のセミナーで報告しますが、ここでは速報として印象的だったトレンドやトピックをご紹介いたします。

■家具デザインにみる新たな方向性

家具デザインは2つの対照的な大きなトレンドが見えました。洗練された、ミニマムでラグジュアリーなデザインと、不完全で、プリミティブで、手仕事を感じさせるデザインです。

●洗練された、ミニマムでラグジュアリーなデザイン

  • ・新ミニマリズム:90年代のミニマリズムとは異なる、詩的で、シンプルなユニバーサルなデザイン
  • ・ハイブリッドな空間演出:高精細な写真、意匠的な照明やカラーコーディネートによる演出
  • ・近現代のデザインの復刻作品と新作のコーディネート
  • ・飾り気のないデザイン、アールデコ的な要素
  • Henge

  • Natuzzi

  • Vitra

  • Paola lenti

●プリミティブで手仕事を感じさせるデザイン

  • ・不完全な形、プリミティブな素材感
  • ・リアルタイムで、手仕事による表現
  • ・エコロジーとリサイクルへの関心
  • ・伝統素材の再発見や新技術による素材の再構築
  • Cassina

  • Henge

  • Moooi

  • Paola lenti

■技術と創造力を発信する企業展示

ミラノ市内各地で開催されたFuorisalone(フォーリサローネ)は、自動車、家電、ファッション、素材と様々なメーカーによる、1300を超えるイベントが行われました。それらの展示は歴史、技術、創造力を発信する場として人々を魅了しました。そして今年は日本企業の活躍がひときわ目立ちました。

  • nendo for Daikin

  • DNP

  • Sant'Ambrogio milano

  • Toyo Aluminium

■世界に影響を与え続けるデザインの祭典

第58回Salone del Mobile.Milano 2019(ミラノサローネ)は、43カ国から出展社数2,148を記録し、6日間で181カ国から38万6,236人が来場し、2017年度に比べ12%増。インテリア業界で世界唯一の見本市として世界を魅了し続けています。イタリアをはじめ、世界経済にも大きな影響を与える見本市です。ミラノサローネが成功を収めている理由は、経済界に政府の支援によって、世界でメード・イン・イタリーを広げ、ビジネスとともに文化も広げたことにあると感じられます。

  • ルネッサンスの天才・レオナルドの没後500周年に捧げたイベント「アクア:レオナルドのウォーター・ビジョン」最先端技術を駆使した映像と音響による空間展示は、1日2,000人を超える来場者を魅了した(写真提供:ミラノサローネ)

  • ミラノ・トリエンナーレで開催中の「Broken Nature」は、人間と自然との調和のとれないほどの喪失がテーマ

まだ、ほんの一部ではありますが、今年のミラノサローネの空気感が少しは伝わったでしょうか。 DICカラーデザインでは、ミラノサローネを含む世界的なファッション、自動車、家電の展示会を定点観測し、トレンドのシグナルを解析し、各分野のお客様に商品開発のヒントとして提供してきました。

2010年からはミラノサローネセミナーを行い、グローバル的なデザイントレンドを生み出す社会的価値観とライフスタイルの変化を徹底分析し、豊富なビジュアルとともにデザインコンセプト、カラー、マテリアルのトレンド変遷を解説しています。 2019年は6月12日(水)、13日(木)にセミナーを開催いたします。 皆様のご来場をお待ちしております。

周 昕(大前 絵理)