色を味方につけるビジネスカラーコラム

コーポレートカラーは企業ブランディングの第一歩

カラーイメージ

企業イメージを示す方法の一つにコーポレートカラーがあります。企業の個性を色で表す記号のひとつです。企業イメージを戦略的に考え、コーポレートカラーを規定している会社は多いのではないでしょうか。しかし、その意味合いや使用方法がバラバラだとせっかく決めた色のイメージが浸透しません。コーポレートカラーの役割を簡単に解説します。

1.コーポレートカラーとは

コーポレートカラーとは、その企業や団体を象徴する色をいい、シンボルカラーとも呼ばれることがあります。例えば、大手コンビニエンスストアチェーンの「あのお店といえばこの色」のように、ロゴマークとともに「赤と緑」「水色」などそれぞれの色や配色を思い浮かべることができます。
コーポレートカラーは、企業ブランディングに紐づいています。ブランドの定義は幅広くありますが、簡潔にいえば「区別するための記号」と「イメージを伝えるための記号」の二つを併せもつ言葉や文字、図形などの表現です。コーポレートカラーはこの色の部分を担っているブランディングの要素です。ブランディングとは企業の経営理念、社会への提供価値、市場におけるポジションなどを顧客とのコミュニケーションを通じていかに社会に浸透させるか、という一連の活動といわれています。

2.コーポレートカラーの活用

せっかく規定したコーポレートカラーも使わなければ意味がありません。もしコーポレートカラーの浸透が不十分だと感じたら、まずは社内のスタッフに目を向けてもらえると良いかと思います。
社員が「コーポレートカラーはどんな色」、「コーポレートカラーの意味」、少なくともその二つは説明できるようにしたいところです。そのためにプレゼン資料や社内ドキュメントのひな型にデザインのルールを決めて、コーポレートカラーの要素が常に露出する環境を整えると良いでしょう。一般的にいうインナーブランディングの一環ですが、色のルールを決めるだけでも統一感のある資料を作ることができます。そのような取り組みが、結果的に社会や社外のお客様へ企業イメージを伝達するために必要な要素となります。

コーポレートカラーの検討

3.コーポレートカラーの管理

コーポレートカラーの活用によりイメージを広めることができますが、色の使い方が統一されていなかったり、印刷するたびに微妙に色が違ったりすると、逆にマイナスイメージを与えてしまいます。先に述べたように色を使うルールを定めて、デザインをマニュアル化することが大切です。印刷用のデータも誤りが起きないよう、管理者を決めて定期的に社内発行物のチェックを行うと良いでしょう。色見本帳と比較して管理する方法もあります。

4.色のもつイメージ

DICカラーガイド

色にはそれぞれ固有のイメージがあります。捉え方は個人によって変わりますが、大別すると暖色系、寒色系、彩度、明度でも色のイメージは大きく変わります(本サイトコラム:「カラーイメージを味方につける」をご参照ください)。コーポレートカラーを決める時は自社が顧客に対してどのような存在であるべきか、どのような会社と感じてほしいかを明確にする必要があります。例えば、活動的なイメージを醸成したい場合は「赤」が良く使われます。同じ赤の中でも、黄み寄りの赤、紫寄りの赤などがあり、微妙に印象が変わってきます。色は言葉ではなかなか伝わりにくいので、色見本帳などで現物の色を見ながらイメージすることが大切です。
DICでは「DICカラーガイド」シリーズという色見本帳を発行しており、企業のコーポレートカラーの色指定にご活用いただいています。

5.色を活用したブランド戦略

ここまでの内容から、コーポレートカラーとは、「色で企業イメージを伝達することができるタッチポイント」だとご理解いただけたかと思います。まさに、ブランディング活動そのものです。ブランディングを一から考えると、企業戦略や市場の優位性、企業理念やビジョンなど、経営の根幹から見つめ直すために多くの時間と労力がかかります。必要性を感じながらも、なかなか十分な取り組みを行うことが難しいケースも多いのではないでしょうか。しかし、シンプルに捉えれば、自社が伝えたいイメージをそのまま伝えれば良いと考えることもできます。イメージを色として表現することで、ブランドイメージの浸透に繋げていくことができます。ブランディングを始めるなら、まずは色から考えてみてはいかがでしょうか。

コーポレートカラー選択イメージ

色彩豆知識1・色彩で商標出願!

条件を満たせば「色彩のみからなる商標」が認められます。

色彩のみからなる商標:単色又は複数の色彩の組合せからなる商標
(これまでの図形等と色彩が結合したものではない商標)
(例えば、商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩など)

*特許庁HPより引用
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/newtype/index.html
色の記号性を戦略に取り込むことで、他社との差別化を一層推し進めることができます。

現在(2021年3月現在)、「色彩のみからなる商標」を認可されている企業は6社(商標登録は8種)あります。
この会社といえばこの色!というのがイメージできますよね。

  • ■株式会社セブン-イレブン・ジャパン
  • ■株式会社トンボ鉛筆
  • ■株式会社三井住友ファイナンシャルグループ(2件)
  • ■三菱鉛筆株式会社(2件)
  • ■株式会社ファミリーマート
  • ■ユーシーシー上島珈琲株式会社

色彩豆知識2・東証一部上場企業のコーポレートカラーの割合

  • 『+DESIGNINIG』Vol.2(毎日コミュニケーションズ 2006)に掲載された東証一部上場企業をソースにしたコーポレートカラーの割合は右記の通りで、圧倒的に赤と青がメジャーでした。
    「躍動感」か「信頼感」を想起させるカラー選択が定番だと推察できます。企業アイデンティティをコーポレートカラーで差別化しようという考えは当時少数だったと考えられます。

  • コーポレートカラーの割合
  • また、日本企業はコーポレートアイデンティティーを変更することに消極的ですが、アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾンなど、適宜変えている企業は少なくありません。
    今では、フレンドリーさを込めたアップルのカラフルな縞のりんごマークは知らない世代も増えていることでしょう。コーポレートカラーもまた時代とともに歩むものなのです。

DICカラーデザインでは、デザイナーをサポートする客観的なデータの提供をはじめ、企業の商品やサービスを展開する国や地域、ターゲット層への訴求力を向上する色提案など、ご要望に基づき豊富な色の知識を活かしたオーダーメイドなご提案をいたします。 詳細はこちらからお問い合わせください。