【Top Creator’s Interview Vol.2】
「Future Craft:未来を丁寧に創りつづける
~第2部 パナソニックの事例紹介/製品紹介~」
臼井重雄 Shigeo Usui
(パナソニック株式会社 デザイン本部本部長 兼アプライアンス社デザインセンター所長)
日本の家電メーカーの中で、デザイン経営を主軸にクリエイティブ企業への進化を図るパナソニック。京都を中心としながら、世界六ケ所にクリエイションの拠点を展開し、ジャンルを超えた人材を意欲的に取り組んでいます。京都に「Panasonic Design Kyoto」を開設し、若手デザイン集団「FUTURE LIFE FACTORY」、テクノロジーと日本の伝統工芸を融合し、日本の美意識をものづくりに活かす「Kyoto KADEN Lab.(京都家電ラボ)」など独自の活動が、世界から注目を集めています。そのデザイン経営戦略のリーダーである臼井重雄氏にお話を伺い、プロジェクト担当者への取材を経て、『アジアカラートレンドブック2022-23』にもブランド事例として掲載いたしました。
Interview Information
場 所 | オンラインTeamsインタビュー |
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対 談 者 | 臼井重雄氏/パナソニック株式会社 デザイン本部本部長 兼アプライアンス社デザインセンター所長 周昕(大前絵理)/DICカラーデザイン株式会社 『アジアカラートレンドブック』編集長 |
第2部 パナソニックの事例紹介/製品紹介
周昕(以下、周): いまのパナソニックの製品展開については?
臼井重雄氏(以下、臼井): Future Craftという家電ラボ、また普通の製品として出している洗濯機や冷蔵庫も、実は少しずつ変わっています。
周: ロゴの扱い方や色、質感の表現の変化でしょうか?
臼井: 昔は赤いレンジがありましたが、今はマットホワイトでプリミティブなデザインになっていたり、来年に向けてはただ単に白ではなくグレイッシュにしたりとか、今までとは微妙に変わってきています。
周: UXの考え方については?
臼井: UXについては徹底的に顧客視点で考えています。BtoBもその先にエンドユーザーがいるので、UX担当デザイナーは一番お客様のことを知るチームになるため、徹底的にインサイトリサーチをやっています。お客様の困りごとを解決する熱いメンバーが、プロジェクトをドライブする原動力になっています。
周: 家丸ごと、トータル的に考えているのでしょうか?
臼井: デジタルになると横につながるので、ユーザビリティを統一します。メーカーも量産品ではなく、今までなかったものやスマートシティを考えています。なんとなく重なっていますよね。人も取り合いになって、人材の流動性が起きている。去年のCESでソニーが車を出したり、当社も動く家を先行で出したり、皆同じようなことを考えていると思います。
最新アプライアンス商品
【冷蔵庫】ガラスドアが主流のなか、鋼板ドアのCMF開発にも注力。マットでプレーンなホワイト、繊細なバイブレーション仕上げ。景色となる佇まい。
【炊飯器】新色のグレーに、従来のブラウンカラーも刷新。シンプルで空間になじむフォルム、住空間素材の木や石、陶磁器をイメージしたニュートラルカラー、手触りのよいシボを組み合わせ。
【ファーストグルーミング】パーソナルでエモーショナルな部分を大切にした美容機器のCMF。若年層が感じる「体毛処理の恥ずかしさ」をポジティブに変えるイエローをキーカラーに。
事業軸にこだわらない未来思索を実践する自主商品開発
HiT
双方コミュニケーションを助ける人体通信ツール
PA!GO
デバイス上でAIを実行
GoogleプロセッサEdge TPUを搭載したIoT家電
RGB Light
河野未彩による光の三原色を応用した、白い光の中に彩る影をつくるペンダントライト
Created by Midori Kawano
Manufactured and Distributed by Shiftall Inc.
Produced by 100BANCH
https://rgblight.net/
TOU-ゆらぎかべ
Konel (コネル)と共同発表した、部屋の外を流れる風に反応し、空間に自然のゆらぎをもたらす壁
人間の感性に働きかけてウェルビーイングを目指す、パナソニックが立ち上げた研究開発組織「Aug Lab」の第1弾プロジェクト。
注:上記事例は弊社『ASIA COLOR TREND BOOK 2022-23』にて掲載されました
ASIA COLOR TREND BOOK
アジアカラートレンドブック 2022-23
世界唯一のアジアを起点としたデザイントレンドブック。
アジア特有の美意識、色彩、素材感を読み解き、創造する。
Profile
臼井重雄 Shigeo Usui
パナソニック株式会社デザイン本部本部長/兼アプライアンス社デザインセンター所長
1990年松下電器産業株式会社に入社。テレビ、洗濯機などのプロダクトデザインを手掛ける。2007年に中国(上海)に赴任。デザインセンター所長として一から組織を立ち上げ、現地発のデザインを生み出す集団を作り上げた。2017年にはアプライアンス社デザインセンター所長として京都拠点集約をはじめとする家電デザイン部門の変革を主導。2018年に家電のデザイン部門を集結し「Panasonic Design Kyoto」を開設。2019年4月、パナソニック全社イノベーション推進部門にデザイン本部を立ち上げる。趣味は犬の散歩。
世界唯一のアジアにフォーカスしたトレンドブック
斬新なアジアの感性、消費者マインド、アート、伝統工芸と哲学、CMFトレンドを発信するクリエイティブ・インスピレーションブックを2008年より発行しています。
アジアカラートレンドブック