Top Creator’s Interview

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【Top Creator’s Interview Vol.7】

Design Shanghai / Sustainable Design China Summit
総合ディレクター
譚卓 Zhou Tan

Profile

譚卓 Zhou Tan

Design Shanghai / Sustainable Design China Summit 総合ディレクター

デザイン上海、Sustainable Design China Summitの総合ディレクター。 広告、ブランディング、デザイン、出版、インダストリアルデザイン、イベントや展示会など、幅広い分野のクリエイティブ業界で15年の経験を持つ。2014年、建築・デザイン業においてアジアで最も成功した展示会「デザイン上海」の立ち上げに携わる。現在、デザイン上海、Sustainable Design China Summitのセールス、マーケティング、運営を担当。MBAを取得後、英国に10年以上在住。

デザイン上海

デザイン上海は、世界で最も権威のある国際デザインイベントのひとつであり、アジアでも最高峰のデザインイベントである。常に新境地を切り開き、成長を続ける中国のデザイン界を牽引。世界中の優れたデザインブランドやギャラリーを紹介する「デザイン上海」は、アジアトップクラスの建築家、インテリアデザイナー、不動産デベロッパー、小売業者、個人バイヤーとのネットワークを構築し、長期的なビジネス関係を築くためのユニークでエキサイティングなプラットフォームを提供します。

Interview Information

対 談 者譚卓 Zhou Tan
Design Shanghai / Sustainable Design China Summit 総合ディレクター
取 材 者周昕(大前絵理) Eri Omae
DICカラーデザイン株式会社 『アジアカラートレンドブック』編集長
        
デザイン上海

周: 譚さんはイギリスで生活されていましたが、どのような経緯でデザイン上海に関わるようになったのでしょうか?

譚卓: 私は長年イギリスに住んで、自動車業界でイベントやフォーラムを主催する仕事をしていたので、東西の文化やアート、デザインについてよく知っています。当時、中国100% Design Shanghaiを見たClarion Events Limited会社は、中国にはハイレベルのデザイン展が必要だと感じ、ヘッドハンターを通じて私を見つけ、半年かけて説得されました。 私はこの企画を非常に興味深く感じ、好きでした。ゼロからイギリスのチームと準備にとりかかり、ロンドンからリモートコントロールしながら、2014年に最初の「デザイン上海」を上陸させ、大成功してセンセーションを引き起こしました。会社はさらに投資する価値があると判断し、2015年に上海支社を設立し、私は上海に戻って責任者を任命され、チームを結成し、今では30人以上在籍しています。その後、北京と深圳にも展開させました。

周: 「デザイン上海」は無事に上陸し、世界から注目されながら成長を続けています。 3年間のコロナ禍を経て、2023年は世界のクリエイティブが復活する年です。4月のミラノサローネは入場者数が15%増加し、6月のデザイン上海は10周年を迎え、規模が50%増、アジア最大のデザインの祭典と賞賛されました。ディレクターとしての感想をお聞かせください。

譚卓: 今年は例年よりはるかに規模が大きく、会場の雰囲気もとても良かった。何よりもこの展示会が架け橋となり、プラットフォームとなったことは非常に重要です。多くの欧州ブランドが3年ぶりに戻ってきましたが、中国市場との関係を復活させるのに、このようなプラットフォームがあるのは幸運だと言い、全体の雰囲気もとてもポジティブでした。

アジア最大のデザインの祭典「デザイン上海」会場

アジア最大のデザインの祭典「デザイン上海」会場

アジア最大のデザインの祭典「デザイン上海」会場

周: 今年、各界のクリエイターが「デザイン上海」を話題にしているので、その情報発信力と影響力の大きさを物語っています。会場にも活気があふれ、エネルギッシュで、明るく陽気な雰囲気でした。

譚卓: コロナ禍から3年が経ち、社会全体が活性化を待ち望んでいました。展示会は人々の気分を高揚させたと思います。

周: 中国ブランドの成長、中国発クリエイションの個性化と発展が非常に印象的でした。 世界に感銘を与えた中国のデザイナーズ・ブランドについてどう思いますか?

譚卓: この10年間、「デザイン上海」は中国デザインの変化を目の当たりにし、業界のあらゆる側面と中国デザインの強さを見てきました。

特別企画「插曲」

特別企画「插曲」

10年前、中国のデザインはまだ模索中で、「新中式」スタイルと伝統工芸だけでした。10年間の国際ブランドとの交流が、中国現代デザインの進化を押し進めた。展示会では、学生からブランドを創業し、自国だけでなく海外へ進出したデザイナーも多い。今年は600以上のブランドが出展し、中国デザインの現状を反映している。海外のクライアントも「デザイン上海」を通じて中国デザイナーを見つけています。

特別企画「消失的边界」

特別企画「消失的边界」

稀奇艺术

稀奇艺术

Reflex

Reflex

最近『TEN YEARS:2014-2023,THE ONGOING PROGRESS OF DESIGN IN CHINA』を出版し、2014年から10年間、40のデザイナーブランドの成長ストーリーと次の10年のビジョンを体系的にまとめました。中国のデザイン業界は、西洋デザインが主流だった時代から、ブランド、デザイナー、消費者が自信を持ち、中国のオリジナルデザインに喜んでお金を払うようになり、中国デザイナーの黄金時代を迎えました。市場環境、優れた工芸産業チェーン、メディアのプロモーションを含め、中国のデザインは非常に良いレベルにあり、今後ますます多くの中国人デザイナーズブランドが登場するだろう。私は中国のコンテンポラリーデザインに大きな可能性を感じています。また、中国市場における欧州ブランドの経験や市場状況を見続けていますが、将来性も非常に高いと思います。

特別企画「消失的边界」

「デザイン上海」特集『TEN YEARS:2014-2023,THE ONGOING PROGRESS OF DESIGN IN CHINA』(photo: 许晓东 XDstudio)

周: 「デザイン上海」は、中国市場や中国ブランドの現状を理解したい多くの業界人が非常に注目しています。最大の特徴は何ですか?

譚卓: デザイン上海はBtoBの展示会で、建築家、インテリアデザイナー、デベロッパーを対象としており、彼らが必要とする商品を私たちが選定し、募集しています。建材展と違って、厳選された高品質な商品を幅広く見ることができる。また家具展のように、同類の商品がたくさんあるわけでもない。「デザイン上海」はとても回りやすく、1日で必要なものをすべて見ることができるので、必要なものに集中しやすいのです。

CULTI

CULTI

立邦

立邦

周: 今回の展示会には、家具、家電、バス・トイレ、材料など多くの国際ブランドが参加し、新製品も発表されましたが、どう評価していますか? 市場のフィードバックはどうでしょうか?

譚卓: 多くの出展者は10年来参加しており、人々の目を引くような新製品が必要なので、基本的にどのブランドも新製品を発表しています。国際ブランドも、新しい出展者やブランドも多く、来年はもっと増える見込みです。今年は特設エリアを設け、PPTでリリースしながら、新製品を展示しています。ここからトレンドが感じられ、まさにトレンド発表の場となっています。

周: パナソニック、東レ、日本ペイント、OKAMURAなどの日本ブランドが出展しています。中国市場に注目している日本企業へのアドバイスはありますか?

譚卓: 日本デザインの地位は世界的に非常に高く、日本の工芸品ブランドを特に気に入っています。中国市場は非常に大きく、消費者は高品質な製品を求めて、高価なイタリアやフランスの家具を喜んで買いますが、彼らは日本の工藝をもっと好むと思っています。

OKAMURAは何度も出展し、的確なターゲットにリーチできるのに非常に満足しています。東レは今年初出展で、以前は材料展に参加していましたが、商品は良くても高価で埋もれていました。今年はインテリア、アパレルなど多分野のデザイナーに出会いました。とてもクリエイティブなブースをデザインし、丁寧に展開されていました。

Okamura

Okamura

Ultrasuede (TORAY)

Ultrasuede (TORAY)

周: コーラーが主催したデザイン・フォーラムでは、著名な国際的デザイナーたちによる講演が注目を集めました。

DESIGN FORUM:Beyond Sustainability lies Re-Creative Design – Design for Wellbeing

DESIGN FORUM:Beyond Sustainability lies Re-Creative Design – Design for Wellbeing

譚卓: デザインフォーラムは毎年異なるテーマを決め、みんなが関心を持つテーマについて勉強と交流のためのプラットフォームです。今年のテーマは「持続可能、ウェルビーイング」、40〜50の有名デザイナーが講演を行ったが、常に満席で非常に人気でした。中国のデザイナーたちが彼らと交流し、異なる視点での議論を期待しました。規模が大きく、イベントも多すぎるミラノデザインウィークと比べると、凝縮された形でじっくり話を聞くことができます。

Ross Lovegrove

Ross Lovegrove

Zandra Rhodes

Zandra Rhodes

周: 譚さんの経歴や趣味、中国と西洋の文化交流についてどのように考えていますか?

譚卓: 私は上海出身で、上海に20年、イギリスに15年住んでいたので、東洋と西洋の文化についてはよく知っています。趣味は幅広く、デザイン、アート、映画、旅行、食べ物が好きで、あらゆる美しいものに興味があります。美には国境はなく、文化の違いもなく、より良い生活を求める気持ちは共通しています。たとえ文化的慣習が大きく異なっていても、コミュニケーションと交流、相互の理解と認め合い、そして美を発見するオープンマインドがあれば、それぞれのインスピレーションを刺激し、促進することに障壁はありません。 私はこの仕事をとても楽しんでおり、業界全体の発展を促す、コミュニケーションの架け橋になりたいと願っています。

周: 今後の展望をお聞かせください。

譚卓: 私は10年かけて「デザイン上海」のIPを作り上げ、多くの国際ブランドを中国市場に参入させました。今後は、中国の優れたデザインを世界に発信し、若い世代の全く異なる最新鋭のデザインを世界に紹介したいと考えています。

Editor’s postscript 取材後記

今年、3年間取材に出られなかった建築とデザイン分野のメディア関係者たちが集結したのは、ミラノサローネとデザイン上海と言われている。高揚感をもった時代に新たな風を吹き込んでくれた。コロナ明け、最も魅力的で活気に満ちた「デザイン上海」は、英国Clarion Events社が2014年に譚卓(Zhou Tan)女史に指揮を依頼したことで誕生し、10年経った今、アジアで最も成功したデザイン展に成長した。国際ブランドの中国市場参入を支援するだけでなく、中国ブランドの成長を促し、中国デザイナーの黄金時代の幕開けを迎えた。取材を通じて、譚氏の中国と西洋の文化背景、オープンで陽気な性格、鋭い審美眼とほとばしる情熱を感じ、彼女はこれからも、中国と世界をつなぐクリエイティブなプラットフォームを拡張していくと確信した。

周昕(大前絵理)
『アジアカラートレンドブック』編集長/クリエイティブディレクター
中国上海市出身。日本、中国を拠点に、地域文化、カラー&素材の研究に関する編著書、講演など多数。上海金澤工藝館アートディレクターも務め、グローバルブランドのCMF提案を数多く手がける。2008年『アジアカラートレンドブック』の創刊とともに、アジアのクリエイターを数多く取材し、千人以上を世界に紹介してきた。

アジアカラートレンドブック

Asia Color Trend Book

世界唯一のアジアにフォーカスしたトレンドブック

斬新なアジアの感性、消費者マインド、アート、伝統工芸と哲学、CMFトレンドを発信するクリエイティブ・インスピレーションブックを2008年より発行しています。
アジアカラートレンドブック