色を味方につけるビジネスカラーコラム

カラーパレットとは?【前編】
~知っているようで知らない「カラーパレット」という言葉の意味~

カラーパレットとは?【前編】 ~知っているようで知らない「カラーパレット」という言葉の意味~

「カラーパレット」と聞いて、どんなものを思い浮かべるでしょうか。カラーは「色彩」の意味で、Colorを連想するでしょうが、パレットはPaletteのほか、Palletを連想する人もいるかもしれません。Paletteといえば、絵を描くときに絵の具を並べる道具ですが、Palletは、物流で使われる、荷物を載せる板状の台のことになります。ここでは前者のPaletteを念頭に「カラーパレット」について考えてみます。

1.『デジタル大辞泉』の「パレット」

オンライン百科事典サイト「weblio」では、小学館の『デジタル大辞泉』から「パレット/palette」を下記のように説明しています。
1.油絵や水彩画を描く際、絵の具を溶いたり調合したりするために用いる板。調色板。
2.ある画家が常用した色彩の種類。また、ある作品に採用された色彩の種類。
3.アプリケーションソフトの操作画面において、各種ツール・操作・命令をアイコンなどでまとめて表示する領域。ドローソフトやフォトレタッチソフトなどで用いられる。操作パレット。フローティングパレット。

この説明の順に「カラーパレット」の言葉の意味を考えてみましょう。

2.絵を描く時の道具

絵を描く時の道具という意味合いは、小学校の美術の授業で「パレット」を使って絵を描いた経験から、もっとも一般的に想起されるのではないでしょうか。真っ白なパレットに複数の絵の具を出して混ぜ合わせて、自分が想い描く色をつくりだすために苦労したという経験は多くの人が共有できる思い出でしょう。

3.画家が常用した色の種類、作品に採用された色の種類

「パレットには画家の創作の秘密が隠されています。形態の技は修練によって磨くことができますが、色彩の妙は画家一人ひとりのもつ感性によって決定づけられます。もちろん作品からもその色彩感覚を窺うことはできますが、パレットはさらにその奥のまさに画家の個性の根源を覗き見せてくれます。絵具の量や置き方、色の配列など、そこには画家の性格までもが如実にあらわれます」。この文章は、岡山県の高梁市成羽美術館で2019年に開催された美術展「画家とパレット 近代の巨匠たち」の紹介文からの引用ですが、カラーパレットという道具の奥深さが伝わってくるパレット解説だと思います。

当たり前のことですが、描く絵によって必要になる絵具の色は異なってきます。海や空の絵を描くのであれば青系の色がパレットに多くなりますし、森や草原の絵を描くのであれば緑系になるでしょう。要は、絵を描く場合に必要になる色をパレットに抽出して並べた状態は、特定の目的に対して最適化されているということです。こうした意味合いが転じて、多くの色が並んでいる情報を「カラーパレット」と呼ぶことがあります。

画家が常用した色の種類、作品に採用された色の種類

当社DICカラーデザインでは2008年から『アジアカラートレンドブック/ASIA COLOR TREND BOOK』というデザイン開発のための情報誌を発行しています。この情報の中では、企業の先行開発業務に携わる方々に向けて、現状分析・将来予測に基づいた色の数々をご提案しています。いわば近未来を描くための「カラーパレット」を作って、提案しています。当社HPの「色彩関連情報:アジアトレンドカラー」では、カラーパレットのエッセンスをご紹介しています。

4.デジタルアプリケーションソフトの色彩ツール

パソコンの普及によって、グラフィックデザイナーといった職能の人に限らず、誰もが色指定をともなうデジタルアプリケーションソフトを利用するようになりました。それは、アドビ社のフォトショップ/Photoshopやイラストレーター/Illustratorなどのプロフェッショナル用のソフトに限らず、マイクロソフト社のワード/Wordやエクセル/Excel、パワーポイント/PowerPointといったOfficeソフトまで、幅広い種類があります。求められるスキルレベルは異なりますが、色を指定する機能はすべてのソフトが有しています。今日では、こうしたソフトで色を操作するツールの総称としても「カラーパレット」という用語が用いられます。ただ、この呼称は総称で、マイクロソフト社のソフトでは「テーマの色」、アドビ社のソフトでは「スウォッチパネル」と命名されています。その詳細は「カラーパレットとは?【後編】~知っているようで知らない『カラーパレット』の違いと使い方~」をご覧ください。

デジタルアプリケーションソフトの色彩ツール

こうした色を指定する機能の「カラーパレット」以外でも、絵を描く際に使用する色の集まりといった意味合いから、配色を想定した色の集まりもカラーパレットと呼ばれています。ネット上のサービスでは、1色を選ぶと、おすすめの配色を提示してくれるものや画像を読み込むと自動的に配色を作ってくれるものもあります。こうしたツールはカラーパレットジェネレーターとも呼ばれ、独自のロジックによって多種多様なツールが提供されています。

5.カラーパレットの定義は?

小学館の『デジタル大辞泉』の定義を基に「カラーパレット」の意味合いを検証しましたが、言葉を使う側の立場によって意味合いが違っていました。言葉は生き物なので、こうしたことは珍しくありません。3つの目の用法は、少なくともパソコンのアプリケーションソフトが登場する前には無かった意味合いです。しかし今ではメインで用いられている意味合いかもしれません。自分が認識している言葉の意味がすべてでなく、言葉は多義性を持っていることを常に意識しておくことが大切なのでしょう。

6.CI、VIでのカラーパレット活用

辞書的な意味の「カラーパレット」だけでなく、企業活動においても、カラーパレットは重要視されています。
CIカラーという言葉を聞いたことのある人は多いと思います。1980年代に大流行した企業戦略の一つで、コーポレートアイデンティティカラー/Corporate Identity Colorの略語です。当時はややもすると単に企業イメージをシンボライズしたロゴの色の代名詞でしたが、今日では、企業総体のアイデンティティと深く関わっています。
企業のカラーパレットは、CIカラーをメインカラーに位置付けて、用途・目的に合ったサブカラーなどを設定し、ブランドイメージをブレなく伝えるためのデザインレギュレーションの中核的存在です。

CI、VIでのカラーパレット活用

このカラーパレットは、社会向けの事業活動だけでなく、ステークホルダーや社員向けといった事業周辺活動においても重要な役割を果たします。具体的には、コーポレートサイトやSNS、会社案内パンフレット、封筒、営業資料、名刺、社屋サインや社用営業車まで、企業が発信する情報すべてで使用されることを想定して作られています。専門的にはVI(ビジュアルアイデンティディ)展開と言われ、企業活動全般で活用されます。
ここで基本となるのは「トーン&マナー」です。この考え方は、コーポレート(企業の)という範囲で重要というわけではありません。ですから製品ブランドの単位でカラーパレットを作っている企業もあります。こうした場合はBI(ブランドアイデンティティ)と言われます。
このほか、MI(マインドアイデンティティ)、BI(ビヘイビアアイデンティティ)等といった言葉もあり、企業活動においていかにアイデンティティが重要視されているかがわかります。
アイデンティティの表徴するデザイン要素として色の重要性は増すばかりで、特許庁は2015年4月から「色彩のみからなる商標 ※特許庁の概要紹介ページ」を開始しました。初めての認可は、2017年3月、トンボ鉛筆の「MONO」で用いられていた「青、白、黒」と、セブンイレブンの「白地にオレンジ、緑、赤」です。それまでは色と形の組み合わせで認められていた商標が、色彩のみで認められるようになりました。こうした動向もあって、企業活動における色の重要性が再認識されるようになっています。

DICカラーデザインでは、デザイナーをサポートする客観的なデータの提供をはじめ、企業の商品やサービスを展開する国や地域、ターゲット層への訴求力を向上する色提案など、ご要望に基づき豊富な色の知識を活かしたオーダーメイドなご提案をいたします。 詳細はこちらからお問い合わせください。

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【特別編】パッケージデザインにおける色の重要性

【特別編】パッケージデザインにおける色の重要性

パッケージデザインにおいて色は重要な役割を果たしています。本資料では、その1つであるカラーイメージコミュニケーションについて、DICが開発した定量的分析手法を解説するとともに、調査展開例をご紹介します。