マンセル表色系とは

◆マンセル表色系

表色系とは「色の表わし方」のことで、これを使うと「記号」や「数字」で色を表すことができ、言語の壁を超えたコミュニケーションツールとなります。世界的なレベルで最も普及している表色系は、「マンセル表色系」といえるでしょう。
マンセル表色系は、1905年アメリカの美術教育者で画家でもあったアルバート・マンセルによって考案されたカラーオーダーシステムで、色の三属性によって物体色を表示する典型的な表色体系です。
カラーオーダーシステムは別名「顕色系」ともいい、系統的に色を配列した標準となる色見本(色票集)がある表色体系のことをいいます。

アルバート・マンセル

アルバート・マンセル

マンセル表色系の代表的な色票集は、アメリカで発行された「The Munsell Book of Color」ですが、これは日本工業規格(JIS)にも採用されており、「JIS標準色票」もマンセル表色系の色票集といえます。前者が約1600色、後者が約2141色の収蔵で、実際のデザインの現場でも広く活用されています。

  • The Munsell Book of Color and name are used with the permisson of Munsell Color, Division of GretagMacbeth

  • JIS標準色票(写真提供:日本色彩研究所)

マンセルの色相は「Hue(ヒュー)」といい「R(赤)・Y(黄)・G(緑)・B(青)・P(紫)」を基本5色相として時計回りに等間隔に配置されています。その間に「YR(黄赤)・GY(黄緑)・BG(青緑)・PB(青紫)・RP(赤紫)」を挿入し、合計10色の主要色相から成り立っています。

マンセル色相環(20色相:主要10色相を2分割した場合)

マンセル色相環(20色相:主要10色相を2分割した場合)

The Munsell Book of ColorやJIS標準色票は主要10色相がそれぞれ4分割されて2.5、5、7.5、10の数字が当てられ「2.5R、5R、7.5R、10R」などと表示されています。
マンセル表色系は、1905年アメリカの美術教育者で画家でもあったアルバート・マンセルによって考案されたカラーオーダーシステムで、色の三属性によって物体色を表示する典型的な表色体系です。
The Munsell Book of ColorやJIS標準色票は主要10色相がそれぞれ4分割されて2.5、5、7.5、10の数字が当てられ「2.5R、5R、7.5R、10R」などと表示されています。

マンセルの明度は「Value(バリュー)」といい、明度10の理想的な白と、明度0の理想的な黒の間を均等に合計11段階に分けられています。
実際に色票化されているのは最高明度「9.5」、最低明度「1.0」ですが、0.5ステップをとるなど、さらに細かい表記も可能です。

マンセルの彩度は「Chroma(クロマ)」といい、彩度0(ゼロ)の無彩色からどれだけ離れるかによって彩度が高い方へ1、2、3・・・と数値が上がって行きます。ただし、最高彩度の位置は各色相によってまちまちです。これは安定して色再現できる範囲だけが色票化されているためであり、今後色再現域が広がってくればマンセル表色系の最高彩度は伸びる可能性を秘めているというわけです。また彩度の数値が同じ色どうしを比較しても鮮やかさ感が異なることも特徴です。

マンセル色立体 (写真提供:日本色研事業)

マンセルの色相、明度、彩度を三次元空間にまとめたマンセル色立体は、左の写真のようにでこぼことした形をしています。
これは、色相ごとに最高彩度やその明度の位置が異なるためです。いびつな形が自然界に生える木のようであり、今後も成長していく可能性を秘めているという例えから、マンセルの色立体は別名「カラー・ツリー(色の樹)」ともいわれています。

※The Munsell® Book of Color から転載

マンセル色立体の等色相面を見ても、最高彩度やその明度の位置が異なるのがよく分かります。

マンセル表色系による色の表示方法ですが、有彩色の場合は「Hue(色相)」「Value(明度)」「Chroma(彩度)」の順で、明度と彩度の間にスラッシュを入れて「HV/C」と表記し、スラッシュは「の」と読みます。
また無彩色の場合は色相と彩度を持たないため明度のみを表記し、明度数値のあたまに「Neutral」の頭文字の「N」で表記します(JIS Z 8721ではNを斜体で記載することになっています)。このような方法でさまざまな色を表記することが可能になるのです。

ライト色立体 マンセル